◆ インド発祥の多弦胡弓「サーランギー(Sarangi)」類の話題を中心に、世界でここだけ前代未聞の怪研究・珍開発の数々を発信し続ける異常ブログです。同楽器取扱いの急先鋒にして生物学者や変態ケモナーとしても知られる異常造形作家【川崎ピースケが執筆運営しています。
研究テーマ:1)楽器「サーランギー属」、2)海のダンゴムシの仲間「水産等脚目甲殻類」、3)多肉・塊根・平行、栽培から造花まで「珍奇植物」、4)原材料・愛玩対象としての「羊」 、5)獣人表現「ケモナー」 、等を題材としたデザイン論と実践、特に生物型や生物利用の意味について。議題は多岐に渡り、追究の範疇としてエログロを含みます。* 近年(2)〜(5)の構想がだいぶ具現化したので、2023年から(1)の分野に戻りアプローチを再開できる運びとなりました。
★ 1記事内1主題の場合と、1記事上に短文加筆を重ねる【近業掬イ】(きんぎょうすくい)の場合がある。繁忙時はどうしても後者です。
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𓆝𓆝𓆝近業掬イ 2022/08/28𓆝𓆟𓆝



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【08/28】ツノ・ツノ・ツノと裸のマハラジャの話

32枚目の刃は鬼刃っちゅうて、鬼が出てきたら挽き殺すのよ…

研究室の改装の合間やご相談ご依頼あれこれの合間をぬうようにして、

ロフタールにようやっとようやっと着手し、第1巻き角のヒダ彫り終わり。
本当に忙しい時はブログ更新どころじゃねえかんね、どうぞご理解をば。


レリーフといったところか。好きな動物だし作るのは楽しいが工程は面倒臭い。
こう見えてもサーランギー研究の範疇だよ。理由は出来上がってから説明する。

なお、ここでは本来の羊の角と見紛う精密なリアルさを追究しているのではない。
建築用のパイン材だから細かな造作をしづらいという面もあるが、
本来の幅や厚みでケラチン質の重なりを刻むと人工的でのっぺらぼうに見えるんだわ。
演奏がてら遠巻きにご覧に入れる時を考えると、角についてはやや大袈裟に表現した方が、
角っぽい迫力をもって見えるんだよ。一種の記号論かな、不思議なものだね。

加えてこれは大変デリケートな感覚。粗野で土臭く垢抜けない手作り丸出しのほうが後々で語ってくるの。
民族美術とりわけアジアやアフリカの古い実用木彫を永く愛してきた俺はそう断言する。
棟方志功みたいなもんかもしらんね、あんまり知らんのだけども。

皆さんときたら造形作品の、ワァ凄ぉ~い!細かぁ~い!本物みたぁ~い!、
ガシィーンドゥクシ萌えアニメの世界から来たような巧みさ煌びやかさばかり誉めそやすものだから、
作家側も小手先を誇りたい驚かせたい褒められたい欲に苛まれてしまうことにより、
当該界隈は表面的な作り込みばかり豪奢でろくすっぽ伝わってこねえ作品の乱立になっている。
「造形作家」でgoogle画像検索して出てくるのなんか全部それだよ。
なんで誰も彼もああいうふうなんしか作れねえもんかな?

俺が立体に見抜きたいのはそこではない。朴訥ながらも鋭敏で健康的な美の感性だ。
どこか呪詛の内在さえ感じさせる凄みは明らかにこっちの内面に宿るからな。
必要不可欠な実機能が備わっていると尚よろしい。

だからこそ俺はサーランギーなる音響装置の構築性に惹かれ、
超える勢いでヤベえ異形を現世に召喚し、ヤベえ戯れを来世に謳わんとす。
‘奏者’ は演奏しかせんのに誰も彼も自分がイチバン気取り。実態は、二番煎じの尻ぬぐい。


…まあいいや、そんなんで8月は羊モチーフの新作だの既作メンテだのと、
ツノ・ツノ・ツノの毎日に専念してました。好きだからいいんだけどね、面倒臭い。
流行りの風邪もひかず流行りの注射も打たずに元気にやってます。

あと海ムシに関して新発見ニュースがあるので近いうち報じる。
奴らが現れたおかげさんで動画製作の予定まで丸クソ1年スッ飛んだのだ。
俺の本領は造形。今後を考えるにいいかげんブレーキかけないことには、
この調子では全国生態調査の底なし沼にひきずり込まれてしまう。




●●●●●●お答えしますのコーナー●●●●●●


→息子にヒメスナホリムシの自由研究をさせたく、

あのね、気持ちは解りますけど、最初ッから俺に模範解答を尋ねんじゃねいの。どんなところにいるのかな? から研究させたんさい。で、正答に辿り着かせるのではなく、本人の気づきを尊重したんさい。私はその気持ちを忘れないまま世の大人どもに歯向かうようにして育ち、世間をギャフンと言わせる自由研究者になりました。

藤沢にお住まいですと目前が相模湾なのにわざわざご足労とは存じますが、とりあえず文面に書いてあるとおりに観音崎たたら浜へ出かけられてはいかがでしょうか。あれは細かいサラサラ砂より粗いザクザク砂の浜を好むようで、パリピでごったがえさない砂浜でよく見つかります。効率的な捕まえ方や飼い方もぜんぶ載せてますから。



→全体を透明な素材で作ることは可能ですか

技術的には可能ですが氷柱のように美しいシースルーのサーランギーをご希望となるとちょいと仕事ですよ。胴を注型で起こすかマシニングで切削してから鏡面研磨することになりますので、大きさや複雑さも相まって手間賃加工賃が随分と嵩むことになります。数を市場に流すのなら多少安くもなるかもしれませんが需要がありませんのでね。分厚いプラ板の組み上げという手もありますが四角いイグルーみたいな頓珍漢なものが出来上がるだけです。入り組んでいてホコリが溜まりやすく、割れやすく修理しづらいのも問題。

楽器に限らず巷の透明バージョンというのは得てして、もし透明なのがあったら凄いな~そこで透明に作ってみました~スゴイでしょ~綺麗でしょ~という ‘情報’ 以上にあまり意味も持たず、 意外やルックス一発で瞬時に消費され、へースゴーイそんで何?に陥るものが殆どです。とくだん音が良いわけでないだろうし、込み入った機構だと有り難みが薄まるし、まあこんなもんかって程度に落ち着いてすぐ飽きると思いますよ。

結局のところ、垢抜けない土臭いレートも低い他国の楽器を鳴らして遊んで時々コンサートしま~す来てね~程度の趣味家が、一瞬の興味や欲求のために300万円近くボンと投資できるのかという現実問題になってきます。優しくてとぼけたピースケさんならインドカレー1杯おごって打ち解ければ世界唯一で最高のオリジナル楽器を小遣い程度の友達価格で作ってもらえてみんなに誇らしげに自慢できるに違いないと思いましたか? リスクも負わずに夢見るは易し。泡と消えても悔しくない遊び銭がまとまったらご相談ください、本気でお見積もりします。

或いは「愚か者には見えない超透明サーランギー」なら、少々お待ちください、すぐに仕立てて差し上げます。

 ほうら、絢爛豪華、見事でございましょう。

透明インド楽器といえば昔U-zhaanさんに、透明タブラ作れないかなぁ! 作ってよ!金は払うからさぁ! と言われたことがあったっけな。気軽に言ってくれるぜと思ったけど、なるほどしかし単に透明なだけだとワァ~透明だーヘぇースゴーイで話が終わってしまうものですから、いっそ乳半(白い半透明)仕上げにして、胴内にLED照明を仕込んで、巡礼トロニクスと同期する感じでで暗闇ライブなんてのも愉快ですねと申し上げたら、U-zhaanさんはウォ~すげーと喜んでくれたけど、お母様にはとされてしまってね。…あっ…理解しました…息子様のご活躍を誰より一番に願って差し上げてください…と察し、ご相談はこちらからは進めませんでした。舞台っていうのは演者が魅力を誇ってみせるのが重要であって、演者を上回るような魅力を技術屋が持ってちゃまずいわけですよ。










    サ ー ラ ン ギ ー 図 鑑     

★バイオリンは皆さんご存じのあの形状にほぼ定まっています。しかしサーランギーは製作者・時代・地方によって様々な自由形が存在し、今なお進化を続けています。特に弦数や配線は個体によって全くまちまち。これは、先人に学んでこう作らなければならない・本場の本家本元ではこれが正しい・こうでなければ本物の価値が無い、といった固定概念に縛られていないためです。ひとくちに捉えられないそれらをサーランピーでは「サーランギー属」と総称しています。

こうして並べますといかにもアジア諸国調査で得られた現地サンプルに見えますが、なんと殆どが日本国内で発掘されたものです。日本人の技術で修理を施しました。…そう言われると急に萎えますでしょう? みんな興味本位で取り寄せて結局すぐ手放しちゃうからこういうことになるのです。

しかもこの中には当方が捏造したオリジナル楽器をまことしやかにねじ込んであります。果たしてどれが現地の風薫る本家本物のお宝で、どれが世にもいかがわしい贋作か? 鑑定やいかに?…といったこだわりは、どうにでもなることですし、実のところどうでもよろしいことなのかもしれません。



チーペスト号  名古屋の誰だ号  結局ウチに号  

ボロ号  55号  黄泉号

グランピエ号 ジョギヤ 前方後円ジョギヤ 

カリマンタン号 恵さんでしたか号 そそるスリム号 

ドードゥロバナム ドゥカン号 サランガ

サランガ・ペタンコ エレクトリック チカーラー

チカーラー(近代版) サローズ アフガンサリンダ

ネパリ くさっぱら号 さらん弓(さらんきゅう)

サランダ  擦弦仮面 ダルマサンガ サランダ

ディルルバ エスラジ タール シェナイ

エスラマ ベラバハール カマイチャ

ラーヴァナハッタ ペナ エスラール
プールヴィーナ バリアジアン号 サラウドン
ストゥーパ号 ドドバシキメラ





    文 化 へ の 冒 涜 で は ?     


サーランギーの化石(カンブリア期)


いいえ、全く冒涜にはあたりません。サーランギー属は進化を歓迎し、地域毎に異なる展開を許す楽器群です

民族学・民俗学では、創作の混入は許されず、ありのままを正確にサンプリングすることで解明に努め、敬意を払います。つまり研究者はあくまで傍観者、せいぜい中途参加者であって、真の当事者にはなれません。研究者が自ら文化に手を加え、研究対象を自分自身とし、文化の歴史を塗り替える、これが許されるなら何だってやりたい放題になってしまいます。そのため研究者は、専門性・正確性への拘りにばかりにプライドを置き、しかし自分では大した表現が出来ない、融通の効かない方向へと人格形成されがちです。異文化理解を唱える本人が無理解とは皮肉なもの。サーランピーではこの状態を「スウェーデンポルノ女優のスリーサイズを精緻に暗記した童貞」と呼び、陥らぬよう自戒しています。

だども、オラ、この楽器がこの島でどう進化すんだか夢みちょる真ッ当事者の日本民族だで。何をどう作ろうと直そうとオラほの自由だ。オラが村の遊びがまんまこの楽器の進化の歴史になるだ。「インチキ業者」「思い上がるな」「現地の文化に失礼」「1人で騒いでるだけ」とお感じなのは、ひとえに貴方の心が許さないから。なにせその現地をはじめ世界各国からウチ宛てに「サイトを見た。修理はできるか? オリジナル楽器のオーダーは可能か?」と打診が来ます。もちろん断りますよ。てめーでやれっ。もしくはてめーの村の良さでやってみれっ。…そうすることがいつしか文化となるのだから。