◆ インド発祥の多弦胡弓「サーランギー(Sarangi)」類の話題を中心に、世界でここだけ前代未聞の怪研究・珍開発の数々を発信し続ける異常ブログです。同楽器取扱いの急先鋒にして生物学者や変態ケモナーとしても知られる異常造形作家【川崎ピースケが執筆運営しています。
研究テーマ:1)楽器「サーランギー属」、2)海のダンゴムシの仲間「水産等脚目甲殻類」、3)多肉・塊根・平行、栽培から造花まで「珍奇植物」、4)原材料・愛玩対象としての「羊」 、5)獣人表現「ケモナー」 、等を題材としたデザイン論と実践、特に生物型や生物利用の意味について。議題は多岐に渡り、追究の範疇としてエログロを含みます。* 近年(2)〜(5)の構想がだいぶ具現化したので、2023年から(1)の分野に戻りアプローチを再開できる運びとなりました。
★ 1記事内1主題の場合と、1記事上に短文加筆を重ねる【近業掬イ】(きんぎょうすくい)の場合がある。繁忙時はどうしても後者です。
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《 Q. ウール100%のセーターが動物クサくて着られません。》A. たわけッ!! ナマの羊をフルモッフなさい癖になるまで牧場の


TV放映『おおかみこどもの雨と雪』でほっこり泣き、
猿を嫌いだが新作『キングコング:髑髏島の巨神』を4DXで、
『SING』はキャラクターが可愛くなくてどうもなぁ…

思い返すと、我、動物アニメーション映画ばっかし注目す。
だって人間しか出ない映画なんてヒーローがピストル撃つだけだろう?


でも動物ドキュメンタリー映画は不思議と興味が湧かないな、
だって野生動物しか出ない映画なんてイルカがピストル撃つだけだろう?

(C)小学館「なぜなに学習図鑑」 


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…いま思えば縁があったのかもしらん。




  \ウフフ…/

  \エヘヘ…/
(2016年8月)


昨年夏に出逢った瞬間ドュッキュ〜ン♪  
以来ときどき訪れては優しく撫でてきた、昨年春生まれのこの個体ちゃん。
古き良き品種マンクス・ロフタンの血をひく雌羊です。

痩せ気味の華奢なルックスだが細めのマズルも角のカーブも俺好み。
気の強い先輩たちに追いやられてばかりの控えめな性格のようだが、
初対面時から妙にピピピと惹かれる懐こさ愛らしさがあったんだ。

あんまり可愛いので思い余って管理者さんに頼み込み、
なんとこのたび私、このコ専属の里親に就任いたしました。
つまり公式に《俺の羊》と名乗れる契りを結んだのだ。キャヒー!



自室で羊を飼えないかと本気で見積もってみたんですが、
マンション暮らしではやはり至難でした。外出が多いし近隣対応が大変だし、
草原で好きにさせてやれない。庭付き戸建てにヤギなら頑張ればね…うーん。

後になって僕が甘かったです誰か引き取って〜なんて身勝手も甚だしいし、
そんなバカの委託を受け入れるお人好し牧場なんてあるわけがないだろ?
よっぽど牧場の側が、若い羊の里親大募集なんてしてれば話は別だが…うーん。


そりが募集してたという次第!!  ウホホ、探してみるものだな。
牧場公認のオーナー公募企画『マンクスロフタン里親制度』です。

給餌や掃除はスタッフさんに丸頼み。俺は時々のんきに様子を見にやってきて、
おやつを与え優しく眺めていればよいという、なんだか申し訳ない制度だ。
そうして1年蓄えたモフ毛を春に刈り上げてそっくり独占させてもらえる約束。
受け取った羊毛であったか小物を作るもよし、獣臭を思クソ嗅いで陶酔するもよし。

ただ念のため。広くオーナー志望者を募集中ではいらっしゃるのですが、
流行りの貸し菜園「貴方もお手軽に農業体験を♪」 なニュアンスとは少々違います。
稀少品種ロフタン維持活動の理解者・応援者、ついては出資協力者を募る、
どちらかというとスポンサー契約の意図が濃いものです。

先輩オーナーは本種の渋い色あいに惚れた愛好家さんたちが殆ど。
受付は工藤悟先生、我が国の緬羊・牧羊犬・家畜学生の育成にこの御方あり。
関わる誰もが半端でない取り組み方で羊の息吹を愛しているのだ。

従って、ひつじたんモフモフぅ♪
あたしってば羊毛フェルト小物作り大好きィ♪
なんか楽しそう申し込んじゃおッかなぁ♪ 気分で申し出てしまうと…
  ・
  ・
  ・
  ・
目的は何ですか?
毛が欲しいなら毛だけ買えばいいのに、
何故わざわざオーナーに?


先生にキッパリ問い返されて、言葉に詰まり挫けること必至。

決して意地悪に突き放す言葉ではなく、真摯に羊に向き合う心ゆえ。
この羊が好きで仕方ない人のための企画だから、どうしてもというなら…の意味です。
だって半端な思いつきで名乗り出たような人じゃ続くわけないですものね。
申し込みには極力きちんとした志望動機と羊文化への愛情が必携です。




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私の場合は、羊を “一貫” しなくちゃいけないと思ったから。

未年生まれのくせして、えーとたしか幼稚園児の時だったか、
段ボールの簡易織り機で20x30cmくらいしか織り経験なし。
しかも毛糸は安い化繊だし。編み物も無知のまま現在に至る。

のち木工芸に浸ってしまったので羊毛工芸には疎いですが、
自分の羊で自分のアイテムを作り身につけたい願望がずっとありました。
生きた羊と顔を突き合わせ、毛刈り・紡ぎ・織り・着用を見届けたかった。

そう、“一貫” が大事。でこそ真に動物とその素材へ寄り添えるはずだと夢見ては、
生易しい世界じゃないけん、でもいつかきっと!と心に秘めて参りましたのです。
この思いは現在サーランギーほか屍体楽器取り扱いが継いでいます次第。


もっとも羊毛なんてこの時代、
手芸店に行ってカネ出しゃ綺麗で均質なものが買えます。
毛並みを揃えられ、均一に紡がれ、鮮やかに染色された材料です。
さあどうぞ手仕事をお楽しみなさいと誘わんばかりに用具の品揃えも豊富。

(C)ユザワヤ
揺り椅子でおばあちゃんが編み込んで、子供が着て、ワァあったか〜い♪

↑の、あったか〜い♪に至る工程のだよ、
最初に付き合う仕事ってなにさ。そこすっ飛ばして何をか言わんや。
美しい材料がいきなり手に入っちゃうお膳立て済みの構造からは、
毛の向こう側にいるはずの羊たちの姿が全く見えてこない
んだよな。
草くさい、土くさい、埃くさい、糞尿くさい、分泌腺くさい、
べェべェ喧しい、ガツガツ喰っちゃ寝てばかりの、愛らしき奴らの姿が。

事実、羊の毛はむッッッちゃくちゃ不潔です。
このまま衣類になど到底できませんので刈ったらまずよく洗います。
しかしこれ、意地の悪い言い方をすれば、エンガチョ処理でしょう?
土と草にまみれ育った生命の痕跡を悉く削ぎ落とし、
いい所だけを都合良く搾取、いらんとこ抹殺する営為だとも言い換えられる。
とはいえ家畜は元来そういうもの。しかしどうも納得がいかなかった。

特にニオイよ。殆どの人がオェッのヒツジ臭=ふれあい動物園の独特臭を、
抱いて眠りたいくらい俺は大好物だので、わざわざ消すのが非常に淋しい。
だったらもうこの時代、清潔な化学繊維で作りゃいいじゃんよって話。

せめて副産物に需要がもっとあれば望ましいのだが、
まず主産物=毛や肉の需要がいかんせん低いわけだからなあ。
せいぜいラノリン、そして廃毛は害獣除け効果のある肥料にもなるけれど、
そこまでして飼う意味と踏ん切りを農家が受け止めてくれるかだよな。


かくして日本のひつじ産業がいまひとつ盛り上がってないわけです。
洗っても洗ってもケモノ臭が抜けない服なんて絶対イヤだろう?
そりゃみんなユニクロ寄っちゃうはずだ。

もっとも近年は牧場に来といて「動物くさくてランチできない」だのと、
牧場にクレームつける家族がいる時代だからね、すごいよなあ。
じゃ何しに来てるんだっていう。その匂いこそ牧場の醍醐味だのに。

羊毛セーターが獣臭くて着られないと嘆くのも一緒でしょ。



人間都合でいびつに作り替えられてきた生命との関係性をもう一度考え直したい。
ヒトとヒツジとは、一体? これがオーナー志望の理由でした。

何よりマンクスロフタン可愛いやん&素敵やん。
ご先祖の凛とした野趣を残しつつ、にしては随分とチンチクリン。
白羊とは違う、なんじゃお前たちは?っていう半端な愛らしさがある。
そして見事な天然ウンコ色。ウンコ色はちょうど私のテーマカラー。

契りを結んだあのコが1年伸ばした毛から糸を紡ぎ出して、
出来た織物を持ってあのコに嗅がせに帰ってみたいんです。
〈ヒツジの〉じゃなくて〈あのコの〉って所が大違いなんだ。
←ヒト←→ケモノ←→モノ→を結ぶフェティッシュはそうして円環する。

どんな顔すっかなあ。くせーッて顔しかめられたら大笑い。


脱柵常習者


…そんな経緯で、なんか変なこの羊たちと接することになった。
オーナーになった以上、そりゃ長い付き合いになれたら嬉しいが、
家畜というのは真面目に飼養管理していてもちょいちょい死ぬものです。
産業動物との正しい向き合い方は、死んだら死んだで割り切ることだ。
悔しさをこらえて学び、次を頑張るしかない。ペットじゃねえんだし。



で、本日は毛刈り!
ロフタンは活発な品種で白ヒツジの倍は暴れるので、
百戦錬磨の職人さんの敏腕をもってしても難儀するそうです。

俺のコも一発頼みます。

いやーん、堪忍して… 取っ捕まってセクシー寝そべりポーズ。
半年の間に随分と大きくなりました。


       \ アーーーーッ!! /

     \ アーーーーーーッ!! /

   \ アーーーーーーーーーーッ!! /


ふふ、抵抗もかわいいな。
みるみるうちにスッ裸に剥かれ、

なるほど確かにヤギ同然になった。


去年の春に産まれたのにご覧のとおりおっぱい大きくて、
ということは、なんと1歳にしてもうお母さん。

みんなつい人間換算すっから驚くかもしれないが「当歳繁殖」といって、
春に産まれた0歳児はすくすく育ってその秋にはもう受胎できる機能を備えます。
しかしいくら産めるったって当歳だと母も新生児も弱いというリスクが絡むし、
一般的にはもう少しどっしりデカ尻(2歳〜)に育ててから種付けするとか。

でも飼育現場ではしばしばこういう状況が発生する。
見てねえ所でちゃっかりヤッてんのよな、くそ〜種オス野郎め。

 ヤっちった♪


しかし俺だって負けちゃいられません。
ピースケ式いちゃいちゃ寵愛術が功を奏したか、
徐々に懐き始めたようで、おそらく向こうも気がついてきたはず。
「(私にだけ優しくしてくれてるみたい…)」

最近は呼ぶだけで遠くからニコニコ駆け寄ってくるようになったし、
去ろうとすると鳴いて懸命に追いかけてくる。

餌のおこぼれ目当てでグイグイ横入りしてくる他個体に対しては、
〈邪魔しないで!! 私のご主人なんだから!! 〉と頭突きで散らすまでに。
よーしよし、多少強くならないとつまはじきにされるからな。
弱々しく突き飛ばされていた半年前には考えられなかった行動です。
ヒツジの個体群内序列はこのようにして形成されていきます。

来るたびに大人っぽく育っている。また時々会いに来るよ。


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ぐへへ、最高。部屋いっぱいに広がる動物園のかほり。

戴いた原毛はさっそくお試し手紡ぎで毛質をみています。

毛色や太さを均一にしすぎないよう変化をつけて…
あんまり整えちゃうと化繊の量販品と大差なくなるからな、
マンクスなんだから荒っぽい方が風合いが出るはずだ。

スピンドルは部屋に余ってたベニヤ板と竹棒を10分弱で加工したものだが、
円盤んとこもっと大きく重く作ってもいいなあ、作り直そう。


へ? やり方? 習ってないよ。
サーランギーのガット弦を撚るのとだいたい同じさ。

僕の紡ぎはワケあって普通でないです。
《ざっくり太めシングル超オイルヤーン》とでもいうか、
原毛をぬるま湯に数回軽く泳がせただけろくすっぽ乾かさないまま、
カード(毛の方向整理)もせずに指で揉んで揃えてサッサとひねってしまうの術。
ゴミや毛玉はこのとき摘みますが多少残ってもかまわんの術です。

すすいだ程度では砂・草・糞尿・虫&卵が残存してるだろうし、
洗剤入れないから脂に至ってはガッツリまる残り。
ですからはっきり言って不潔だし、まぁ〜羊くっせえのなんの!
素材の持ち味をそのままに♪どころの話じゃない。



 

ボッフ! ムッフモッフ…



くッは〜!









    サ ー ラ ン ギ ー 図 鑑     

★バイオリンは皆さんご存じのあの形状にほぼ定まっています。しかしサーランギーは製作者・時代・地方によって様々な自由形が存在し、今なお進化を続けています。特に弦数や配線は個体によって全くまちまち。これは、先人に学んでこう作らなければならない・本場の本家本元ではこれが正しい・こうでなければ本物の価値が無い、といった固定概念に縛られていないためです。ひとくちに捉えられないそれらをサーランピーでは「サーランギー属」と総称しています。

こうして並べますといかにもアジア諸国調査で得られた現地サンプルに見えますが、なんと殆どが日本国内で発掘されたものです。日本人の技術で修理を施しました。…そう言われると急に萎えますでしょう? みんな興味本位で取り寄せて結局すぐ手放しちゃうからこういうことになるのです。

しかもこの中には当方が捏造したオリジナル楽器をまことしやかにねじ込んであります。果たしてどれが現地の風薫る本家本物のお宝で、どれが世にもいかがわしい贋作か? 鑑定やいかに?…といったこだわりは、どうにでもなることですし、実のところどうでもよろしいことなのかもしれません。



チーペスト号  名古屋の誰だ号  結局ウチに号  

ボロ号  55号  黄泉号

グランピエ号 ジョギヤ 前方後円ジョギヤ 

カリマンタン号 恵さんでしたか号 そそるスリム号 

ドードゥロバナム ドゥカン号 サランガ

サランガ・ペタンコ エレクトリック チカーラー

チカーラー(近代版) サローズ アフガンサリンダ

ネパリ くさっぱら号 さらん弓(さらんきゅう)

サランダ  擦弦仮面 ダルマサンガ サランダ

ディルルバ エスラジ タール シェナイ

エスラマ ベラバハール カマイチャ

ラーヴァナハッタ ペナ エスラール
プールヴィーナ バリアジアン号 サラウドン
ストゥーパ号 ドドバシキメラ





    文 化 へ の 冒 涜 で は ?     


サーランギーの化石(カンブリア期)


いいえ、全く冒涜にはあたりません。サーランギー属は進化を歓迎し、地域毎に異なる展開を許す楽器群です

民族学・民俗学では、創作の混入は許されず、ありのままを正確にサンプリングすることで解明に努め、敬意を払います。つまり研究者はあくまで傍観者、せいぜい中途参加者であって、真の当事者にはなれません。研究者が自ら文化に手を加え、研究対象を自分自身とし、文化の歴史を塗り替える、これが許されるなら何だってやりたい放題になってしまいます。そのため研究者は、専門性・正確性への拘りにばかりにプライドを置き、しかし自分では大した表現が出来ない、融通の効かない方向へと人格形成されがちです。異文化理解を唱える本人が無理解とは皮肉なもの。サーランピーではこの状態を「スウェーデンポルノ女優のスリーサイズを精緻に暗記した童貞」と呼び、陥らぬよう自戒しています。

だども、オラ、この楽器がこの島でどう進化すんだか夢みちょる真ッ当事者の日本民族だで。何をどう作ろうと直そうとオラほの自由だ。オラが村の遊びがまんまこの楽器の進化の歴史になるだ。「インチキ業者」「思い上がるな」「現地の文化に失礼」「1人で騒いでるだけ」とお感じなのは、ひとえに貴方の心が許さないから。なにせその現地をはじめ世界各国からウチ宛てに「サイトを見た。修理はできるか? オリジナル楽器のオーダーは可能か?」と打診が来ます。もちろん断りますよ。てめーでやれっ。もしくはてめーの村の良さでやってみれっ。…そうすることがいつしか文化となるのだから。