◆ インド発祥の多弦胡弓「サーランギー(Sarangi)」類の話題をそっちのけに、世界でここだけ前代未聞の怪研究・珍開発の数々を発信し続ける異常ブログです。同楽器取扱いの急先鋒にして生物学者ならびに変態ケモナーでもある異常造形作家【川崎ピースケが執筆運営しています。
研究テーマ:1)楽器「サーランギー属」、2)海のダンゴムシの仲間「水産等脚目甲殻類」、3)多肉・塊根・平行、栽培から造花まで「珍奇植物」、4)原材料・愛玩対象としての「羊」 、5)獣人表現「ケモナー」 、等を題材としたデザイン論と実践、特に生物型や生物利用の意味について。議題は多岐に渡り、追究の範疇としてエログロを含みます。* 近年(2)〜(5)の構想がだいぶ具現化したので、2023年から(1)の分野に戻りアプローチを再開できる運びとなりました。
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ジムナーカス? ギムナルクス? 淡水オタクに馴染むなカス!! 飼うなら学びは義務なるクス!! 何と呼ぼうがエぇんジャオっサン!!の話


きゃーっ、ヘビ。

今年が巳年=蛇の年などというお考えは、おばあちゃんが勝手にそう思い込んでいるだけのこと。
口がチュッパチャップくなるほど毎年申しておるように、毎年の干支を決めるのは私です。

ママンがヒヨコのアップリケを縫い付けてくれたロンパースを今もってご着用の貴方達は、
今年を蛇の年だと頑なに宣っておいでのようですが、なにをたわけた戯言をぬかしますやら。

そも、干支に魚類の無きこと笑止千万!
だのに貴方ったら、あーあ… ママンのヒヨコのアップリケのロンパースをずっちゃり湿らせて。
本年はギムナルクス及びジムナーカスを奉り肖りまする御年だと、
ブタ連れて森のトリュフ採りに忙しい私に幾度云わせれば気が済むんですか?

ッハッハッハ。幾度って、いま初めて言った次第ですが… そういうわけですから今回は、
うちヘビ居ないんで今飼ってるヘビっぽい魚、前回記事で少し紹介した、
ギムナルクス / ジムナーカスについてもう少し述べておこう。

ドレープカーテンのような背鰭を優雅になびかせ、前後にスイスイ動く、至極シンプルな体躯。
カバとイルカを足して割ったような何とも愛らしいムーミン谷フェイス。
多くの人にとって単なるウナギ、釣り人には単なる黒アナゴにしか見えないだろうが、
それらには無いアクティブさを秘めた、地味だけど魅惑的なアフリカの魚種です。

そしてそろそろ我々はこの愛らしき魚への認識を更新すべきだと常々感じている。
とりわけアクリウム界隈… 知った顔で仰る [注意点] 以外に、褒めてやれるとこ無い?って思うのだ。



\それは、キモオタさんが僕たちギムナルクスのことを知らないからだよ〜?/
        

とは、ギムナルクス/ジムナーカスは熱帯淡水魚飼育の業界でたびたび出回る魚種のため、
ウンチクも自ずとアウム通めいたオタク知識的な体裁を帯び易いのだ。いわく、
「名称の揺れ」「1属1種」「噛む」「凶暴」「混泳不可」「大型化」

そして 「覚悟」 。や、そりゃそうなんだけどもさ…
そもそも生物を飼うってことはそんな程度の覚悟の ”向こう側” を覗かせて戴く営為だ。
名称な分類の正しさなんてのも人間がどう理解するかということでしかなく魚に関係のないこと。

いいかい、つまり真逆なのだ。
噛む…だの、混泳は…だのといった小言でいちいち躊躇するような、
頭ん中が濾過フィルターで満杯のオーバーフローな人こそ、わざわざこの魚種を語る資格が無い
のである。
アクのわいた思考、いっぺんプロテインスキマーかけたらよろしいんじゃねいのか?

「なんか熱帯魚を飼いた~いナニ買おうかな?」ではなく、ギムナルクスを飼う!
「自分アクアリウム趣味なんで~追加可能っすか?」ではなく、ジムナーカスと暮らす!意気込みだ。

同様に、
「熱帯魚マニアとして最後に行き着く〜」でなく、ギムナルクスと付き合いたい!
「自慢の大水槽で自慢の最強怪魚を自慢したい〜」でなく、ジムナーカスと出逢いを共有したい!
ってなぜ言えない??

違うか?? どんな生き物についてもそうだと思うよ??
つまりね、我こそ知識通を自負しながらそこまで "好き♪" の域に心が到達していないから、
「1属1種で〜、1mを越え〜、性質は荒く〜、混泳は難しく〜、水族館も手を焼くほどで〜」
と、距離を置いた”徹底解説!”を転がすしかない
わけ。突き抜けようぜ?! って俺は言ってる。
その上でキチンと最後まで面倒みる義務を守るんやったら他にナニ飼うてもええわ。
実体そのものに接し、向き合い、新しいことを勉強させてもらう喜びを、
アンタの早口オタ知識ストック欲の糧と勘違いしてもろたらあかん。怒るで、しかし。

…そもそも俺、生物地理学的に1属1種とは限らない可能性は?とさえ考えていてな。
西アフリカと東アフリカで顔つきが微妙に違う?とかさ、本当のマニアック話を誰もできんからやあ。
そんなんでオタク自負して、最強の怪魚だの飼育員の指だのと、いつまでその話?


実際ギム/ジム話でしッばしば飛び交う、
【ヒーターを破壊!!】 【飼育員を噛んで退職に追い込む!!】みたいな伝聞も、
そんなんは単に不注意なだけのことであって、イコール悪魚との評価は短絡です。
その強さをもってアフリカの湿地帯という弱肉強食の世界で命を繋いできた捕食者なのだし、
俊敏さや執拗さが持ち前の頭の良さに裏打ちされていることが、飼うとよく分かります。
遊び心やいたずら心さえ感じさせる。

ですから今後ギム/ジムの癖の悪さについて語りたい飼育家は、昔話や噂話に尾ひれをつけず、
いま実際に飼ってみて、ホラこんな悪さをしたよ可愛いね~♪と嬉しい破損を記録してもらいたいのだ。
ヒーター噛むなら噛み割ったヒーターを、指を噛みちぎるなら失った指先を、写真や動画にだ。
じゃなきゃ信じてやんないぞ。…や、貴重な資料になるはずですんで…


この点で、私が知る限り最も素晴らしいギム/ジム飼育記録をご執筆の御方がこちら↓。

ameblo.jp
餌の確保にご奮闘、愛情をもって飼育観察なさっている様子がとてもよく伝わる。
初回からパート11まで全て拝読しました。見習いたい。大変参考になります。
「是非、機会があったら飼ってみて下さい。本当に面白い魚ですよ」
これぞジムナーカス飼育の冥利! どう呼ぶのが正式だ〜とか知識披露どうでもええねん。
ぜひ飼育に挑戦したい人の為にならない、ただ脅すばかりの飼育ノ心得が多い中で、
とても楽しく頑張られている様子がわかる貴重な資料です。こうでなくっちゃね。


そしてギム/ジムについて我々が極めて不勉強であるのは原地アフリカの食文化。
好きな魚にまつわる文化全体を学びたい俺はむろん勉強したかったが、どの図鑑にも載っておらず苦労した。
いくら「現地では食用」と通ぶっても、飼育通でしかないから、誰ひとりとして食を語れない。
解決に導いてくれたのがネット文化普及、つまり現地調査なしにローカル情報を受け取れる世界の到来だ。

驚くなかれ、美味な超高級食材とのことで、こちら↓はナイジェリアの漁業者さん
クアトが口を揃えて凶暴! 凶暴! 仰る怪魚を、抱いとんねんで

「生息地の川からストック池まで3時間半の移動、弱っているので注意深く、
 まずは浅い小池で状態を観察、回復させ、後でより大きな池に放ちます」

「池の小さなティラピアが餌になります」「噛むことがあるので注意が必要です」

「ナマズがティラピアを飲み込もうとすると、ティラピアは鰭の棘を開き、
 喉につかえてナマズが死にます。ギムナルクスは飲み込むのではなく、
 二つに噛み切り、尾側だけを食べるわけなのです。
 ナマズは何でも食べますが、ギムナルクスは生きた小魚だけを食べる。
 我々の食材として清潔なのです。だから扱う。それが私たちの誇り」

「ティラピアは繁殖力が強く、池の水の出入口から侵入し、草を食べて増えます。
 ギムナルクスがティラピアを食べると水面にティラピアの頭だけが浮いてきますよ。
 ギムナルクスはとても賢いので、やはり頭の部分を避けて尾の部分だけ食べるんです」

(こうして自分の池で)ギムナルクスを養殖できたらと考えています」


こういうのをもっと早く聞きたかったんだよ。
さすがプロ、習性を熟知されており、ついては魚体を優しく抱いて(そのわりにブン投げて)運ぶ。
やれヒーターを噛むほど凶暴で〜混泳は難しく~なんて豆知識のちっぽけさを恥ずかしく思う程だ。
飼育知識だけイジってる界隈と、商売として全身で取り回している人とでは、見識も違ってこよう。

並列のヘテロティス(学名。通称ナイルアロワナ、現地呼称アバダリギ)に至っては、
「エサ代をかけずに7ヶ月でこのサイズ。必要なのは元気に育つ環境作りだけ」と喝破。
日本のアクア界隈はこれの幼魚を水槽で育てるのに四苦八苦してるようですのにね。


ナイジェリアではジムナーカス/ギムナルクスを「エジャ オサン」(ヨルバ語)、「アズアサ」(イボ語)、
「ダンサーキ」(ハウサ語)と呼ぶそうで、漁獲および生簀ストックの生体を流通のほか、

ホール(全身)冷凍、もしくはウロコを取って輪切りブツ切り、

或いは干物=乾燥加工品としても扱われ、さてどうご実食を?というと、

こんなふうにナイジェリア流ゴッタ煮が絶品だそうです。旨そうやないの!

となると気になるのはお値段ですが、この↓動画によると、

www.youtube.com
な・なんと1尾、25万ナイラ!高い!…って相場もレートもよう分からんけど!

…ナイジェリアのレートで思い出した、
いつだかTBS番組『水曜日のダウンタウン』でボビー・オン氏が、
アフリカ各地出身4人の出身国を風貌だけで判別できるか?企画にご挑戦の際、よく憶えているのは、
「ケアって野生動物いっぱい残ってるのはやっぱり欲が少ないからですよ。
 ナイジェリアは圧倒的に野生動物ぜんぶ食べ物と思ってるから…」
とのコメント。
スタジオは笑いに包まれたけど、あのご見解もここに繋がってくるよね、勉強になる。
一尾25万ナイラの魚を伝えたらきっと「マジで?!」 と目を剥いて仰るのではないかな。

やぁ、アフリカ… ぶらり旅は危険すぎるけど、生物も文化も面白いね〜!
 


私のギムナルクス/ジムナーカスは、中上に堂々鎮座していた老舗「まっかちん」さんで譲って戴いた、
ナイジェリア現地個体=つまり魚の方がはるばる日本へ旅をしてきたというわけ。
今こそ再び!と探していたとはいえ、移転準備の繁忙のなか押しかけてしまいスミマセンでした。

導入当時↑のこの頃は30cmに満たない若魚でした。
餌は生き餌、つまり生きた金魚や川魚だが、確保が大変。
冷凍エサ=死んだそれら小魚やスーパーの刺身を食ってくれるようになれば相当ラクになる。
当初はまるで興味をもってくれなかったが、地道に訓練を繰り返すことにより、

ピースキー@peeeeeeeeesukey
(この動画だけXが埋め込み拒否! Xはそういうことが時々あるようです。なので埋め込みっぽく囲みました。動画はX会員のみ下記↓アドレスから。非会員ごめん)
🐬ジムナーカス/ギムナルクスを冷凍エサ(動画ではニス)に慣れさせる記録。貰った餌を咥えてテメェんちの屋根へ自分で乗せる謎の癖があった🤣。これ↓一回でなく毎度よ。なぜ?! 変な魚!! 現在は解消、全個体が同行動をとるかは未確認だが、遊びと清掃の中間的行動と考えられました🤔https://x.com/peeeeeeeeesukey/status/1875511024125931901

徐々に旨い餌だと認識、パシャパシャ合図からのゆっくりトスで受け取ってもらえるようになり、

現在は水面に待機して餌をねだりピンセットから直食いする始末。こうなると尚更カワイイやね。

食材選びは当初、ひとまず淡水魚をと鮮魚売場のニジマスやワカサギを、
だいたいエアガンのBB弾1〜2粒程のサイズに切って与え始めました。
ところが与える魚肉の種によってはビタミン分解酵素チアミナーゼが豊富に含まれ、
この酵素が豊富な魚肉を養殖魚に与え続けるとビタミン不足で死ぬパターンがあると伺った。

石原・紀成・保田(1973)によるとチアナーゼ活性が認められたのは、
マイワシ、サッパ、コノシロ、キビナゴ、カタクチイワシ、テンジクダツ、サンマ、サヨリ、
トビウオ、コイ、フナ、カマツカ、カワムツ、ムギツク、ヤリタナゴ、アブラハヤ

とのこと。ギム/ジムが生息地でよく食べるティラピは不活性だったそうです。
じゃあやっぱり食べ慣れてない=強活性のある魚肉は避けたほうが良いかもね。
【参考】石原・紀成・保田「海産魚のチアミナーゼ I の 研究一II.* 海産魚におけるチアミナーゼの分布」日本水産学会誌 39 (1), 55-59, 1973

慌ててフナすなわち金魚はやめ、この酵素をなるべく持たないと思われる魚種を色々選んできたが、
だんだん面倒臭くなり、偏らず色々な魚種を少しずつあげてみるのがよいと思い至り、
そんならもう俺の夕飯の刺身盛り合わせ(閉店前の半額品)を少し分けてやろうという結論に達した。

現在モツゴほか生きた小魚にビタミン餌を食わせてから食わせ、詳細知らんけど栄養補助として、
ブリ、ホタテ、メカジキ、遠洋マグロ、北欧サーモン等、各少量を品目豊かに食いやがる。
チアミナーゼよう知らんけれどもバラエティ豊かに調整して死んだのならもう知らん、の域。
金魚ばっかり毎日毎日…よりもずっと良いと思うし、当魚も嬉しいと思うのだ。

贅沢なことだが、飼育という超エゴ環境下、野生じゃ成し得ない特別待遇を楽しんでほしいのだ。

ついでに言うと俺がすすんでスーパーの半額刺身を買うのは、むろん節約目的ではあるが、
一番の理由はフードロス、殺しておいて魚に申し訳が立たないからです。
夕食ご準備の奥様も晩酌の旦那も、汚い屍汁が垂れてるパック避けるでしょ、買って固焼きで食うこともある。



そして育つと示す噂の「噛み癖」については、確かに。う〜ッ怖いねぇ!! と思わせる瞬間があって、
もしこのとき手や腕を入れていたら怪我だったな…と黙ってしばし魚体を見つめることも度々。
むかし飼った幼魚や若魚はここまでガツガツ噛んでくるほどではなかったから、少し驚いている。

ただ、様子をみる限り、粗暴な性格だからというよりテリトリー防衛本能からの先制攻撃と思われます。
自分を脅かし得る物体については躊躇なく猛突撃してきますが、
明らかに勝てないサイズ、勝てるサイズのものは、さほどでもない態度です。

暇を持て余して見える時にはスパーリングしてやると嬉しそうにしますよ。

怖い怖い…と怯えるのではなく、行動の本質を見抜いてあげることが大切なの。
アクリル棒はイジメているのではなく、汚れや食べ残しを処理するための道具で、
敢えてけしかけると甘噛みしたり体をこすったりと、遊ぶようにじゃれついてくる。
こういう可愛い遊び心が他の魚と違う面白みのひとつかな。

とはいえ、あまり好き放題に遊んで、見てない隙に事故を起こされても困るんで対策はしている。
トリカルネット≒植木用の鉢底ネットの丸くないシート状態の商品をホームセンターで買い、
結束バンドで縫うようにして円筒を作り、投げ込みフィルター、ヒーター、水質維持材など、
器具類を全てそこに格納するように工夫しました。これはかなり有用な方法です。



おかげさまで2025年元旦現在、40cmを越えました。

三枝(2001)によると、
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal1994/121/11/121_11_773/_article/-char/ja/
「研究室で購入した20cm程度の幼魚も, 4年間で40cm以上にまで成長した」
とあるので安心してましたのに、成長めっちゃ早いじゃないッスか、三枝教授 (茨城大・電磁波工学)
長生きで怪物化すると聞きますので、ただいま室内環境と照らしながら大型水槽の寸法を検討中。
かといってそう巨大な設備には出来ないし、漏水事故を防ぐ事前対策を打つ予定だ。

一方で、せいぜい魚のことですからどんなに大切に飼ってもポックリ死ぬ場合が頻繁にあります、
或いは俺の方がポックリ、でなくとも飼育を泣く泣く諦める体調になる日が来るやもしらん。
ですので特に飼育日誌にはまとめませんが、できる限り知見を拾い出せていけたらなと思う。
死んだら標本にして残すつもりです、そしたらいつでも会えるでしょ。



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繰り返しになりますが、私はサーランギー製作家の一本道には行かない決断をしました。
色々な事象に挑戦して感性を磨き、ここぞの時に突拍子に作品化するのが私の作風であり人生です。
結果、私が探し求めているどの民族音楽より私一人が私一人で既に面白い日本人だと気づきました。
究極のところ、俺が弾きたい楽器の最高の職人が俺自身ならば、外国に出向いてナニを学ぶ必要も無いのです。

一本気でない!全てを捧げていない!だから本物でない!と怒ってソッポ向く人も居ましたが、
「浮気せず頑ななまでにその道一本を貫き通してほしい〜」という固定概念の押し付けは、
「その道でトッベルだが他はからっきしバカであれ=つまり総じてバカであれという呪いでもある。
そういう他者のコンールに乗っからないことが自分自身の人生を掴むことに他なりません。

私は他人の位置付けの為になど生きていませんし、誰がなんの楽器活動をなさっているからといって、
自動的には褒めないし友達価格ましてタダで楽器を作ってなどやるわけがありません、
この態度に徹したら、あれほど群がってきた好事家たちが今、ねっとり誘い声をかけてこなくなりました。
そこが本質であるとともに本性でもあったということです。実にすがすがしい気分。

民族楽器に限らず、或いは熱帯魚に限らず、いま情報社会の中で努めて、
オタクであろうとする=何かにおける一番のご意見番でありたいところに存在価値を欲しがるよね。
自分が何者か?の問いでなく、既存の"オタク"的地位に自分を馴染ませようとし、結局苦しんでいる。
その苦しみ自体がアイデンティティーの無さを認めているように思えてならないんだ。
今この時代に自身が何者であるかを掴み、自身が成し得ることこそが、
ひいてはアイデン…ティティンティティー… よう知らんけども。


従って、相変わらずこのブログ読んでるインド古典音楽愛好家はたいした変な人だし、
魚のように優雅な音律を奏でたいものだと思ってくれるんなら本望ですね。



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【追記】 金魚ちゃんにはそれぞれ熟考に熟考を重ね上げた愛称がついていて、

白いのは白いから「白」

赤いのは赤いから「赤」

頭だけ赤いのは頭だけ赤いから「頭」

もともと生き餌としてやって来たから「餌」

ピンポンパールは気持ち悪いから「奇形」と呼んでいます。ヨロシクね♪


や、金魚ってそもそもが奇形なの。奇形作りを面白がってるマッドサイエンスカルチャーよ。
これらも死ぬ時は死ぬんでどうせ死ぬと思いながら大事に飼っていますけど。







    サ ー ラ ン ギ ー 図 鑑     

★バイオリンは皆さんご存じのあの形状にほぼ定まっています。しかしサーランギーは製作者・時代・地方によって様々な自由形が存在し、今なお進化を続けています。特に弦数や配線は個体によって全くまちまち。これは、先人に学んでこう作らなければならない・本場の本家本元ではこれが正しい・こうでなければ本物の価値が無い、といった固定概念に縛られていないためです。ひとくちに捉えられないそれらをサーランピーでは「サーランギー属」と総称しています。

こうして並べますといかにもアジア諸国調査で得られた現地サンプルに見えますが、なんと殆どが日本国内で発掘されたものです。日本人の技術で修理を施しました。…そう言われると急に萎えますでしょう? みんな興味本位で取り寄せて結局すぐ手放しちゃうからこういうことになるのです。

しかもこの中には当方が捏造したオリジナル楽器をまことしやかにねじ込んであります。果たしてどれが現地の風薫る本家本物のお宝で、どれが世にもいかがわしい贋作か? 鑑定やいかに?…といったこだわりは、どうにでもなることですし、実のところどうでもよろしいことなのかもしれません。



チーペスト号  名古屋の誰だ号  結局ウチに号  

ボロ号  55号  黄泉号

グランピエ号 ジョギヤ 前方後円ジョギヤ 

カリマンタン号 恵さんでしたか号 そそるスリム号 

ドードゥロバナム ドゥカン号 サランガ

サランガ・ペタンコ エレクトリック チカーラー

チカーラー(近代版) サローズ アフガンサリンダ

ネパリ くさっぱら号 さらん弓(さらんきゅう)

サランダ  擦弦仮面 ダルマサンガ サランダ

ディルルバ エスラジ タール シェナイ

エスラマ ベラバハール カマイチャ

ラーヴァナハッタ ペナ エスラール
プールヴィーナ バリアジアン号 サラウドン
ストゥーパ号 ドドバシキメラ





    文 化 へ の 冒 涜 で は ?     


サーランギーの化石(カンブリア期)


いいえ、全く冒涜にはあたりません。サーランギー属は進化を歓迎し、地域毎に異なる展開を許す楽器群です

民族学・民俗学では、創作の混入は許されず、ありのままを正確にサンプリングすることで解明に努め、敬意を払います。つまり研究者はあくまで傍観者、せいぜい中途参加者であって、真の当事者にはなれません。研究者が自ら文化に手を加え、研究対象を自分自身とし、文化の歴史を塗り替える、これが許されるなら何だってやりたい放題になってしまいます。そのため研究者は、専門性・正確性への拘りにばかりにプライドを置き、しかし自分では大した表現が出来ない、融通の効かない方向へと人格形成されがちです。異文化理解を唱える本人が無理解とは皮肉なもの。サーランピーではこの状態を「スウェーデンポルノ女優のスリーサイズを精緻に暗記した童貞」と呼び、陥らぬよう自戒しています。

だども、オラ、この楽器がこの島でどう進化すんだか夢みちょる真ッ当事者の日本民族だで。何をどう作ろうと直そうとオラほの自由だ。オラが村の遊びがまんまこの楽器の進化の歴史になるだ。「インチキ業者」「思い上がるな」「現地の文化に失礼」「1人で騒いでるだけ」とお感じなのは、ひとえに貴方の心が許さないから。なにせその現地をはじめ世界各国からウチ宛てに「サイトを見た。修理はできるか? オリジナル楽器のオーダーは可能か?」と打診が来ます。もちろん断りますよ。てめーでやれっ。もしくはてめーの村の良さでやってみれっ。…そうすることがいつしか文化となるのだから。